こんにちは。
自転車処ぽたりんぐぅの トウマ です。
かつてブリヂストンは
面白いミニベロをたくさん出していました。
その中でも名車中の名車が
「トランジットコンパクト」です。
速さへのアンチテーゼのような
トラコンカスタムの世界を少しご紹介。
速く走るという呪縛を打ち破る
「自転車は速く遠く」
これは一つのテーゼです。
自転車の進化の歴史はまさに
人間の速く遠くの欲求の
上にあると言えます。
しかし、ある程度その進化が到達点に
近づきつつある現在においては、
その逆の衝動が生まれてきます。
まさに、
「速さへのアンチテーゼ」と言えるでしょう。
歩くよりも少し早いくらいの速度で、
普段気づかない景色を楽しみながら、
時間や移動手段にとらわれず
自由に休日を楽しむ。
ママチャリで走るのも楽しいのですが、
「トランジットコンパクト」と言う名車を
楽しむきっかけになるかもしれません。
クセの強さが、さらに愛おしい。トラコンカスタム。
1990年代後半から2000年代前半ごろに
ブリヂストンは面白い折りたたみ自転車を
精力的に展開していました。
その中でも名車中の名車が
「トラコン」の根強い愛称でファンの多い
「トランジットコンパクト」です。
トラコンをカスタムするうえでのポイントと
デメリットについてここでは考えてみましょう。
ワイドタイヤでクッション性アップ
トランジットコンパクトは12インチの
タイヤサイズの極小径車。
タイヤが小さいと路面の影響をまともに
受けてしまいますので、
ファットタイヤは必須です。
シュワルベのビッグアップルは
このサイズでも機能性抜群のタイヤを
展開してくれる、
ミニベロ屋にはありがたいブランドです。
ゆったり乗れるハンドルポジションを。
タイヤが小さく、路面の衝撃がきつくなると
お話ししましたが、
そのせいで前傾姿勢がきついと手のひらに
かなり大きなストレスを感じてしまいます。
そこで、重量配分をバランスよく配置するため
ハンドルポジションを上げて、
ややサドル荷重になるように調整します。
トラコンには内装変速機がベスト
12インチという特殊サイズのホイルには
内装変速機の使用がベスト!
外装変速機だとディレイラーのアームが
路面やタイヤと接触してしまい、
使用する場合も機能制限をしないと
いけなくなってしまいます。
個人的なおススメは
シマノの内装5段変速シリーズ。
高級一般車などに採用される変速機です。
適度なギア比と耐久性がおすすめ。
組み合わせにもよりますが
スポークは6cm台。
振れ取り台も治具がないと使えません。
(当店はパークツールのものを使用)
過度なフロントハイギア化は禁物。
ミニベロ界隈でよくあるカスタムが
フロントの極端なハイギア化。
極端が好きな人が多いこの界隈ですので
やりすぎてるイタイ例も多いですが、
一般的なケイデンスで踏めるギアに
しておく方が、機材にも人にも優しいです。
今回のカスタムもフロント48T。
コンセプトが明確なら、
自ずからセッティングは見えてくるものです!
(タイトルをご確認ください)
トランジットを選んではいけないケース。
トランジットコンパクトは
メリットとデメリットが正反対の
クセの強すぎる自転車です。
そのため選ぶべきではないケースも
厳然と存在しています。
どういうケースが当てはまるか見てみましょう。
1、体格的な制限
トラコンはかなり特殊な形状の
ミニベロです。
適応身長も非常に幅が狭く
難しい面があります。
背が高い人(身長170以上くらい)は
トラコンは避けた方がいいです。
かなり窮屈ですし、サドル高も上げにくい
構造になっていますので注意が必要です。
身長165cmの私が乗る際にサドルは
目いっぱい高くしてますが
少し物足りない高さに感じています。
写真のようにサドルポストを支える構造が
負担に弱い構造になっていますので
体重が重い(定量的に言えないですが)方、
身体の大きな方も使用には注意が
必要だと思います。
2、カスタムのハードルが高い
一般的に言われるようなカスタム、
例えばパーツの組み換えだけで
済むようなものと違い、
ホイル制作などに対応してくれる
ショップさんが極めて少ないです。
12インチのホイルを組むこと自体
断るショップさんもあるくらいですので。
トラブル対応なども受けてくれるお店が
近くにあるか確認が重要です。
カスタム費用も比較的割高になります。
特殊な作業や部品の仕様が多いことと、
一回のカスタムで関連する部位が多い
ことも理由と考えます。
3、損耗状態に差がありすぎる。
廃番商品である以上、中古品の流通から
入手するほか手段のないトラコンです。
ここで問題になるのが、
車両の状態の良しあしです。
大規模なカスタム前提で入手するなら
ある程度は気にする必要は少ないでしょう。
それでも、ジョイント部分の損耗や
ベアリング部分のがたつき、
溶接部分の経年劣化など
画像で判断できない面もあります。
その辺も購入を検討される際には
要注意ポイントです。
現在はライセンスを引き継いだ
HARRY QUINN
「MAGIC WAND」
ハリークイン マジックワンド
という車両も販売されています。
トラコンの雰囲気は残しつつ、
現代風にアレンジされて
そのまま乗っても十分楽しい
仕様になっていますね。
オートマチック2スピード変速も
楽しいギミックなので、
そのまま乗るのも十分にありな自転車です。
まとめ。遊び方にアウフヘーベンを。
自転車は元来、
「速く走る、遠くまで走る」
という宿命を背負ってきた乗り物です。
しかし、スピード化にあふれている現代では
遊びの中にこそ、
「速さに対するアンチテーゼ」が
求められている気がしています。
どちらが正しいというわけではなく、
両者の考え方が統合され
さらに自転車が楽しくなる、
アウフヘーベンが求められている
時代になっている気がします。
トラコンカスタムは奥が深いですよ!
是非お問い合わせ下さいね。
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