こんにちは。
「No,ぽた No,Life」 です。
堺市の自転車処ぽたりんぐぅの店長が
自転車について独断と強めの偏見で
自由に語っていくメディアです!
実用自転車ってご存知でしょうか?
少し年配の方は郵便屋さんや
豆腐屋さんなどの仕事用の自転車です。
今の自転車と似てる部分もあり、
違う部分もあり
見た目にも興味深い自転車です。
頑丈で安定感抜群なのですが
変速がない車両が多いのがタマにキズ。
実用自転車の名車「ウェルビー号」を
内装5段化して現代によみがえらせます!
最強のママチャリ!実用自転車をさらにパワーアップ!

自動車が今ほど普及する以前は
事業用として大活躍していた「実用自転車」
耐久性、強度、安定感、もろもろ、
非常によくできたお仕事用の自転車です。
パナソニックの「ジュピター」などがありましたが
(現在では廃盤商品です。)
今となってはなかなか見かけなくなりました。
無骨なデザインが好きだという愛好家の方も
多くいらっしゃいます。
ひとつ物足りないとすれば、
変速機がないというところ。
やはりこぎ出しの重さ、坂道ののぼりなど
少しギア比が変えられれば
便利になる局面が多くあります。
変速機、特に内装変速機を導入するメリットと、
導入実例をご紹介していきます!
内装変速機のメリット

内装変速機 画像の引用元:シマノHP
一般自転車や多くの電動アシスト自転車に
多く採用される内装3段変速。
あなたも馴染みがあるかもしれませんね。
ここで内装変速機のメリットを
おさらいしてみましょう。
停車時にも変速可能
変速機の種類には
スポーツバイク等に採用される外装式と
一般自転車の多い内装式があります。

画像の引用元:ブリヂストンサイクルHP
今回の記事では内装変速機に限って
お話ししようと思います。
わかりやすいメリットのひとつは
「停車時にも変速ができる」
と言うことです。
信号待ちでギアを下げて再スタート
という使い方も可能になります。
変速機が一番活躍する局面が
「発進時」(こぎ出し時)ですので、
非常に合理的なシステムです。
内装5段変速にはちょうど「いい塩梅」がある。
具体的なメリットとは
少し違いますが、
内装変速機を導入するには
内装5段変速をおすすめします。
理由はいろいろあるのですが
以下の図の通りです。

ギア比とは
「ペダル(クランク)を一回転させたとき
にタイヤは何回転するか」
と言うことです。
数字が少ないほど
こぎ味は軽くなり回転数は減ります。
数字が大きいほど
こぎ味は重くなり回転数は上がります。
実際に内装3段変速機を使ったことがあれば、
ちょっと思い出してください。
「3速にしたら重すぎるし、
1速にしたら軽すぎて、
ちょうど良いギアがなくて・・・」
特に内装3段変速はこの傾向が大きいため、
内装5段変速でその「スキマ」を
埋めてやることができます。
(電動自転車は3速でお構いなしですw)
変速機について書いてます。


耐久性が高く、自転車の構造がシンプルになる
内装変速機はその構造がハブの
内部に収められています。
そうすることで汚れや
外部からの衝撃から守られ
比較的損傷が少ない点があります。
斜めに歯が刻まれたヘリカルギア(はすば歯車)や
ニードルベアリングなど
スムーズでロスの少ない内部構造で
静かな走行感が楽しめます。

画像の引用元:シマノHP
リアディレイラーが不要になり
自転車の構造はシンプルになりますが
内部構造はかなり複雑です。
実は非常に歴史の古いシステムで
1900年代初頭にはイギリスで
製品化されていました。
その後さまざまな開発が進み、
ギアの構造や変速システムなどが
改良され軽快で耐久性の高い
変速機が完成しました。
内部は複雑ですが、
自転車の見た目はシンプルになり
ディレイラーを必要としないため
チェーンの脱落などは
かなり抑えることが可能です。
自転車の歴史が楽しく学べる施設です


ウェルビー号 内装5段変速化

今回ご相談いただいたのは
非常に年季の入った実用自転車「ウェルビー号」
大阪の自転車ブランド、「ウェルビー」の
代表的な自転車でした。
現在のウェルビーは…寂しい限りですが。
ロッドブレーキに気づかれたあなたは
お好きなクチですねW

まずは各部のメンテナンスと点検を。
ベアリングの状態も悪くなく、
洗浄してグリスアップしてやれば
それだけでも十分に軽快に動きます。

チェーンリング(前のギア)も
スプロケット(後ろのギア)も
大きいことに気づくでしょうか?
ギア比は現在のママチャリと大差ないと
思いますがギアは今の自転車よりも
はるかに大きなものを使っています。
恐らく、重量物を運んだりすることが
多かったためトルクを分散させる
狙いがあったのでしょう。
ギアが小さいと瞬間的にかかる力が、
少ない「歯」に集中してしまい
消耗が激しくなります。
チェーンも含めて耐久性の向上を
狙ていたのだと思われます。

クランクの形状も少し違っています。
クランクからナットが出ているのが見えますが、
「コッターピン」という固定用のピンが入っています。
軸受けなどの固定に使われる構造です。
自転車のクランクも昔はこのような方法で
抜け止め固定されていました。
その名残で今でもクランクの取り付け方式を
「コッタレス」(スクエアテーパ)と
(コッターピンが不要のと言う意味)
言ったりします。

今回一番工夫が必要だったところは
ブレーキ周辺でした。
古い実用車には多く使われる
ワイヤーの代わりに金属の棒(ロッド)で
ブレーキ操作をするロッド式の
ブレーキシステムです。
現在ではこの方式に対応するブレーキが
新品ではほぼ販売されていないので、
ロッド式のブレーキレバーで、
現行のローラーブレーキを動かす
必要がありました。
引き代を確認するとほぼ同じでしたので
サンプルのホイルを使いテスト。
問題なく動作できましたので、
パーツを作成して互換性を確保します。
調整にはコツがいりますが、
時々ロッド式のブレーキの修理も承るので
同じ要領です。

心配していたチェーンケースも
加工の必要もなくすんなりと
収まってくれて一安心です。

実用車の特徴でもある、
いかにもヘビーユース対応のスタンド!
新聞配達の車などでは今も現役で見られますね。
バネがなくなっていたので
交換しておきました。
見た目もかっこいいですね。

オーナーさんよりその後の様子が届きました。
さらに「働く自転車感」が出て
活躍しているようです!!!
古い自転車もまだまだ活躍できる可能性を
秘めていますね!



まとめ。内装ギアは街乗りに必要な要素が満載!
変速機は、その自転車の性格を決定づける
非常に重要な要素です。
外装変速、内装変速それぞれに
発展してきた歴史があり、
それぞれに得意分野があります。
どちらが優れているとか、
劣っているとかと言う
低次元な話ではなく
双方の性格を正しく把握して
自分に合った変速方法を持った
自転車を選ぶのがいいでしょう。
もちろん、「変速無し」も
(1x1、シングルギア)
立派な選択肢ですね!
内装変速機の導入にご興味を
持っていただけましたら
お気軽にご相談ください!!!
最後までお読みいただき
ありがとうございました。
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